歴史的アダム(1)[聖書][創世記]

"Four Views on the Historical Adam" という本が2013年に出た。日本語に訳すなら「歴史的アダムに対する4つの見解」といったところか。
この本は一種のシリーズ本のひとつで、4人の異なった立場の人たちが、それぞれ自分の主張を述べ、その後で別の立場である3人の人たちがそれに対して(反対)意見や感想を述べる。そしてさらに最後にはじめの著者がその反対意見などに対してコメントする、という形の4部構成になっている。

この本のレビューを書く前に、それと直接は関係ないがアダムの系図について簡単にまとめておこうと思う。

アダムの系図については創世記5章に書かれている。

エクセルでその系図をまとめたが、ここに載せ方がわからないので、以下に簡単にまとめる。

アダム  130歳の時、セツ   誕生。 930歳で死ぬ。 (930 年目)
セツ   105歳の時、エノシュ 誕生。 912歳で死ぬ。 (1042年目)
エノシュ  90歳の時、ケナン  誕生。 905歳で死ぬ。 (1140年目)
ケナン   70歳の時、マハラレル誕生。 910歳で死ぬ。 (1235年目)
マハラレル 65歳の時、エレデ  誕生。 895歳で死ぬ。 (1290年目)
エレデ  162歳の時、エノク  誕生。 962歳で死ぬ。 (1422年目)
エノク   65歳の時、メトシェラ誕生。 365歳でいなくなる。(987年目)
メトシェラ187歳の時、レメク  誕生。 969歳で死ぬ。 (1656年目)
レメク  182歳の時、ノア   誕生。 777歳で死ぬ。 (1646年目)
ノア   500歳の時、セム・ハム・ヤペテ誕生。600歳の時、洪水(1656年目)


この系図からわかること;

1) この系図内で、はじめて死んだのはアダム(930年目)。その後ノアが生まれる。

2) アダムが死んだのは、ノアの父であるレメク(9代目)の時代。つまり、アダムは子(セツ)、孫(エノシュ)、曾孫(ケナン)、玄孫(マハラレル)、来孫(エレデ)、昆孫(こんそん)(エノク)、仍孫(じょうそん)(メトシェラ)、雲孫(うんそん)(レメク)と一緒に、現代アメリカならサンクスギビングを過ごしたことだろう。

3) 洪水が起こったのが1656年目、この系図でノア以外、最後までいたのがメトシェラで、彼は1656年で死んでいる。洪水で死んだとも考えられるが、神がこのメトシェラの死まで洪水を待っていたとも考えられる。

4) 創世記はモーセが当時のイスラエルにわかるように書き記しているため、年代は太陰暦に基づいている。つまり、現代の年代の換算法とさほどかわりない。
もし無理に現代の寿命に合わせ、十分の1にするなら、ケナン、マハラレル、エノクは6才、又は7才で子どもをもうけている計算になる。

5) この系図には、それぞれ名前の記されている子とは別に「息子たち」「娘たち」が生まれていることが書かれている。
複数形なので、二人以上であれば、たとえ1000人であっても「息子たち」であるので、正確な人口はわからないが、最小人数である二人としてアダムの存命中に人口が何人になるかを計算してみる。

※ 計算方法:アダムの子ども=カイン・アベル・セツ・その他息子2人、娘2人の7名。平均7名の子どもが生まれ、そこから3組のカップルが出来ると仮定した場合。

2代目(2人(アダム・エバ)+7人(子ども))=9人
3代目(2+7+21(三組のカップルが7人ずつ子どもを生む))=30人
4代目(2+7+21+70(十組のカップルが7人ずつ子どもを))=91人
5代目(2+7+21+70+245(35組の。。。。。。。。。。。))=315人
6代目(2+7+21+70+245+854)=1099人
7代目(2+7+21+70+245+854+2989)=3843人
8代目(2+7+21+70+245+854+2989+10458)=13447人
9代目(2+7+21+70+245+854+2989+10458+36603)=47601人


アダムが死ぬときの人口は、最小に見積もっても5万人弱。
ちなみに、「息子たち」「娘たち」がそれぞれ10人だった場合、9代目の人口は、670071674人。7億人近い人口になる。
聖書の矛盾として「カインの妻はどこから来たか」という問をたまに見るが、この長寿の時代を考えれば、妻を探すことはそう難しくなかっただろう。