科学者の厚顔

「科学者は厚顔なのだ。彼らは事実が理論に合わないからといって、理論をおいそれとは捨てない。そういう場合彼らは、通常は、新しく救済用の仮説を案出して、理論に合わない事実を単なる一つの変則事例と呼べるようにしてしまった上でそれを説明してしまうか、その変則事例をうまく説明できない場合には、それを無視して、別の問題に関心を移してしまうのである。科学者は、変則事例や手強い事例については語るが、反証事例については語ろうとしないことに注目しよう。」

ラカトシュ『方法の擁護』(1986、p6)

方法の擁護―科学的研究プログラムの方法論

方法の擁護―科学的研究プログラムの方法論