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以下は『新しい科学論』の1頁で、「ゲノムと聖書批判(3)」の最後に書いたことに対する参考の一つとして載せておく。

「今のわたくしどもには、屁理屈にしか聞こえないこの理解は、フロギストン理論を共有する共同体の中では充分説得的であり、かつ客観的であったのです。これは単に一つの例に過ぎません。(中略)過去のそれぞれの時代にこうした例が数々あるということは、現在のわたくしどもが絶対的に確かだと思いこんでいる科学理論においても、後代の人びとが見たら、屁理屈としか思えないような理解に立っている、という可能性からわたくしどもがまぬがれ難い、ということを示しているのです。
現在のわたくしどもでも、現在わたくしどもの共有する科学理論に対して致命的な反証となる「事実」をすでに数多く入手していながら、しかも、それに気づいていない、ということは、想像してみるのにあまり愉快なことではありません。とりわけ現場の科学者の方々にはそうでしょう。」(p189)

新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

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